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2022.08.23/しつけ・行動学・トレーニング
爪とぎのおはなし
愛猫の爪とぎで、家の壁や柱、家具などがボロボロになって困っている方も多いのではないでしょうか。今日は猫の爪とぎについてお話します。
・なぜ爪とぎをするの?
猫には狩猟本能があり、爪は狩猟のための大切な武器です。その武器をしっかりお手入れしておくことは猫にとっては重要な行動です。猫の爪は多層構造になっていて、新しい爪が常に下からつくられています。ガリガリと爪を研ぐことで古くなった表面の爪がはがれ、新しい鋭い爪があらわれます。
また、爪とぎにはマーキングの意味もあります。肉球から特有のにおいが分泌されていて、他の猫に対して「ここにいるよ」というメッセージになるのです。他には、ストレス発散のために爪とぎをすることもあります。
・爪とぎとの付き合い方
お話しているように、猫にとって爪とぎは本能的な行動ですので止めさせることはできません。ですので、猫と一緒に暮らすには、猫の爪とぎと上手に付き合っていく必要があります。もっと素敵な爪とぎ場所を用意してあげることで、そちらで気持ちよく爪とぎをしてもらい、逆に爪とぎをされると困る場所は研ぎ心地を悪くすることで対策しましょう。
<爪とぎ板の選び方>
さまざまな形、素材の爪とぎ板が市販されていますので、猫の好みにあったものを選びましょう。家具や壁など爪とぎされると困るものとは違う素材の物を選び、猫が爪とぎ板を区別しやすいようにしましょう。素材に関わらず、爪とぎ板は定期的に交換しましょう。古くなって研ぎ感がなくなってくると使ってくれなくなります。
柱や壁などで爪とぎをする子には縦置き型の爪とぎ板を、床のマットやカーペットなどで爪とぎをする子には横置き型の爪とぎを与えてみましょう。いずれの型でも猫が安心して爪とぎできるよう、滑ったり倒れたりしないように設置することも大切です。最初は爪とぎ板に慣れない子もいますので、爪切り板へ連れて行き、爪とぎのまねをさせて匂いをつけてあげるといいでしょう。いろいろな形状の爪とぎ板を、家の数カ所に設置してあげるとより良いでしょう。子猫は生後2ヶ月ぐらいから爪とぎを始めますので、早めに対策をしましょう。
<困る場所への爪とぎ対策>
先述したように猫の爪とぎは本能ですので、必ず適切な爪とぎ場所を用意してから、爪とぎをされると困る場所に対策をしましょう。
爪がひっかからないように市販の保護シートを貼り付けるのは手軽な対策のひとつです。また、アルミホイルを巻き付けると有効なこともあります。
ストレスによる過剰マーキングで爪とぎをしている場合には、対策をしても不適切な爪とぎ行動がなかなかおさまらないこともあります。不安を和らげる作用のあるフェイシャルフェロモン製剤が有効なこともありますが、不安やストレスを感じている原因についても考えてあげて、その原因を減らしたり取り除いてあげる必要があります。
また、定期的に爪切りをすることも大切です。爪を切っておくと爪とぎをしても刺さりにくくなりますので、家具や壁への被害を軽減できます。また、爪切りをする際に、爪の状態をチェックすることができます。高齢になると関節痛などが原因で爪とぎが苦手になり、分厚く鈍な爪になってくる子がいます。ひどいと巻き爪になって肉球に刺さり、化膿してしまうこともあります。高齢の子はもちろん、高齢になる前から定期的に爪はチェックしてあげましょう。
人と猫がお互いに気持ちよく暮らしていくためにも、猫の生活環境を整えてあげるといいでしょう。